まばたき


 ぱちり
 彼がまばたきをしたその一瞬。
 彼の雫のようにきらきらした双眸が閉じられたその一瞬。

 嵐が起きた。

 びゅうびゅう。
 嵐。

 なんて綺麗なまぶた。
 雫のようにきらきらした眼球をつつむその線。
 目がくらむような、美しさ。

 嵐が起きたの。
 私の心臓の中で。

 イン サイド マイ ハート。

 私の心の中で。

 びゅうびゅう。
 嵐。

 一瞬よ。

 まるで神様がちょっと水面をつついて、波紋を起こしただけのように。
 けれど水面を騒がす波紋のように。

 びゅうびゅう。
 嵐。

 がたんがたんと揺れる電車の音も、きゃあきゃあとうるさい女子高生の声も聞こえないくらいの大嵐。

 そしてあるとき、それはピタリと止むの。

 台風一過。
 そんなかんじで。

 嵐の後の静けさ。
 そんなかんじで。

 そして私は気付いたの。
 これが恋なんだって。