さて、俺と女神は今激烈なチェイスを繰り広げていた。
試験会場である構内で。
どうしてこうなったかというと、約五分前にさかのぼる。
試験終了のチャイム。
試験監督の指示。
席を立ってもいいという言葉と共に、昼休み開始。
それと同時に立ち上がった俺にその時初めて視線を向けて、女神は口の端を上げて不敵な笑みを浮かべた。
壮絶に綺麗だと思った。見惚れた。
彼女は俺を挑発するように、俺の目の前を通る。
香る甘い薫り。
彼女が他の試験監督達と教室のドアの向こうに消えるのを見届けて、俺は彼女を捕まえるべく走り出した。
しかし扉を開けるとそこにはもう彼女はいない。
立ち止まってきょとんとしている試験監督らに聞くと、突然走ってどこかへ行ってしまったという。
簡単に捕まる女じゃないって事?
最高じゃねぇか。
俺は気分が高揚していくのを感じた。
つーわけで、約三時間五十分経過?