座談会

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『レイデ夫妻のなれそめ』より
・ザイラス(ザイ)
・リナレーア(リ)

『太陽と月と』より
・ジーリス(ジ)
・ザーティス(ザー)

『姫君達の晩餐』より
・鳥代(鳥)
・珀蓮(珀)

《まずはご挨拶をしてください》


ザイ「帰っていいか」
鳥「待ってください。まだ始まったばかりじゃないですか」
珀「鳥代、どうしてあなたがその男に敬語を使っているの? 仮にもあなたは王族で、その男は一介の伯爵でしょう?」
鳥「え? いやあ。なんだかこう、俺とは人生経験が違うかんじがひしひしと」
ザイ「こんなくだらんことに使う時間はない」
リ「まぁ、そんなことおっしゃらないでザイラス。面白そうじゃありませんか」
ザイ「面白そうじゃない」
ザー「ふん。気の強そうな顔をして、妻には尻に敷かれてるのが丸わかりだな」
ザイ「おいてめぇなんつった」(ガタッ)
ジ「こらザーティス! ごめんなさいね、今すぐ黙らせますから」
珀「帰っていただいてよろしいのではないかしら。協調性のない方にいられてもこちらが困るだけだわ」
鳥「こら! 珀蓮!」
珀「鳥代。次わたくしを犬みたいに叱ったら池に落とすわよ」
鳥「すみませんでした」
ザイ「馬鹿馬鹿しい。リナ、帰るぞ」
リ「ザーティス様、ジーリス様、鳥代様、珀蓮様ですね。はじめまして。私、リナレーアと申します」
ザイ「リナ!」
リ「夫のザイラス共々、どうぞよろしくお願いいたします」
ザー「奥方の方がいくらか常識を持っておられるようでよかったじゃないか」
ジ「はじめまして、リナレーア様。『常識を持ってる方』のジーリスです」
ザー「ふむ。否定はしない」
鳥「あ、俺が『常識を持ってる方』の鳥し……」
珀「(鳥代の顎をがっと掴んで)わたくしに常識がないと言いたいのかしらこの口は」
鳥「ひょんはほほあひはへん」
リ「あの、ザーティス様は精霊の生まれでいらっしゃるんですよね?」
ザー「そうだが?」
リ「もし失礼でなければ、普通の人とどういうところが違うのかお聞かせいただけませんか? どうやってジーリス様と出会われたのかとか」
ザイ「リナレーア……」(妻の目が好奇心に輝いているのを見て諦めて座る)
ザー「普通の人間と違うところ? そうだなたとえば……(何もないところで炎を出してみせる)」
リ「まぁ! すごいわ!」
ザー「妻と私はとりかえ子なんだ。私は人間の元で育ち、代わりに人間の赤ん坊であった妻が精霊の元で育った」
リ「そんなことが本当にあるのですね」
ジ「迷惑な話よね。でもとりかえられてなかったらザーティスに会えていなかったし、子供達も生まれていなかったかと思うと複雑だわ」
ザー「馬鹿を言うな。ティティアトが何もしなくとも、私はお前を見つけていた」
ジ「はいはい。そうかもね」
リ「もしよろしければ、今度ゆっくりお二人の話を聞かせてください。きっととても素敵でどきどきするような恋と冒険があったのでしょう?」
ザー「私と妻は、一時期敵味方に別れて戦争をしていた」
リ「ええ! それはいったいどういうことなんですか!」(大興奮)
珀(魔女と精霊はどう違うの? やってることは同じでなくて?)
鳥(精霊はむしろ魔術師と密接なんだ。魔術師は、精霊と契約を結んで魔術を使うから……)
ザイ「おい、お前ら何こそこそ話してるんだ」
鳥「あ、すみません」
珀「レイデ伯爵、わたくしの夫はこれでも一応王族でしてよ。少しは敬意をはらわれたらいかがかしら」
ザイ「血筋が人格を保証するわけじゃねぇだろ」
珀「そうね。妻が人格者だからといって夫もそうだとは限らないのと同じだわ」
ザイ「ああん?」
鳥「珀蓮お願いだから喧嘩売らないで」
ジ「あの、リナレーア様? あなたの旦那様が東の国の王妃様に鋭い眼光を投げつけてるわよ」
リ「あら、まぁ。ザイラス。どうされたんですか?」
ザー「血の気の多い男だな。ちょっと血を抜いてきたらどうだ」
ザイ「よしくそお前らまとめて表に出ろ!」(ガタッ!)
珀「望むところだわ」(ガタッ!)
鳥「珀蓮! やめて!」
ジ(右手を額に当てて)「あんたが煽るからよ」
ザー「飽きてきたな。抜けて二人で昼寝でもしようかジーリス」
ジ「するわけないでしょ!」
【収集がつかなくなってきたので終了】


《妻が入れ替わりました。
 本当のパートナーを当ててください》


ザー「ふむ。あそこに並んでいる三人の人格が入れ替わったから、自分の妻を見つけてみせろということか」
鳥「三人は椅子に座ってて、声は出してはいけない決まりみたいだな」
ザイ「リナレーアの可愛さは内側から輝いてるからわかる」
ザー「ほう、そうまで言うなら最初に当ててみてくれ」
ザイ「簡単だ」
 すたすたと座っている三人の女性のもとへ歩いていくザイラス。
 少し身をかがめて、一人一人に顔を近づけて観察する。
リ「……」
珀「……」
ジ「……(顔がぼっと赤くなる)」
ザイ「はい見つけた」
 ジーリスの肩を抱くザイラス。
ジ(リ)「ずるいわザイラス」
ザイ「何もずるいことはしてない……どわっ!」
 突然炎を浴びせられて飛びのくザイラス。
ザイ「何しやがんだ!」
ザー「私の妻の肩を気安く抱くな」
ザイ「中身違うだろうが!」
ザー「それでもだ。不愉快だな。貴様燃やすぞ」
ザイ「おお上等だ!てめぇこそひき肉にしてやるよ!」
 突然立ち上がり、スタスタと歩いて行ってザーティスの頭をはたく珀蓮。
珀(ジ)「燃やしていいわけないでしょ」
 にやりと笑って珀蓮(ジーリス)を振り向くザーティス。
ザー「お前は本当に堪え性がない」
珀(ジ)「まさか芝居だったの?」
ザー「半分は本気だ」
鳥「ということは、残ったあんたが俺の妻だ」
 リナレーア(珀蓮)を迎えに行く鳥代。
リ(珀)「なんなの? この茶番は」
鳥「面白い趣向じゃないか。枯葉色の髪のあんたもとても綺麗だよ。そうだ。せっかくだからその姿のままで二人ゆっくり……」
ザイ「おいお前、三つ頭の魔物に頭を食いちぎられたくなきゃ変な考えを起こすなよ」
鳥「起こしません。大丈夫です」
リ(珀)「あんたって本当に馬鹿じゃないの」
【終了!】



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